柴田トヨさん98歳の詩

昨日菅原薬局に行く機会があり、待合室に置いてあった詩集が目にとまった。

柴田トヨさん98歳の「くじけないで」というタイトルの本である。

何か微かに覚えている気がした。

微笑みたくなる詩を書き写してみました。

    「倅に」

何かつれえことがあったら

母ちゃんを思い出せ

誰かにあったちゃあ だめだ

あとで 自分が嫌になる

ほら 見てみなせ

窓辺に 陽がさしてきたよ

鳥が 啼いてるよ

元気だせ 元気だせ 鳥が 啼いてるよ

聞こえるか 健一(息子の名前)

    「風や陽射しが」

縁側に 腰をかけて 目を閉じていると

風や 陽射しが 「体はどうだい?」「少しは庭でも歩いたら?」

そっと 声をかけてくるのです

がんばるぞ 私は 心のなかで

そう答えて ヨイショと立ちあがります

   「返事」

風が 耳元で「もうそろそろ あの世に行きましょう」

なんて 猫撫ぜ声で誘うのよ

だから 私 すぐに返事をしたの

「あと少しこっちにいるわ やり残した事があるから」

風は 困った顔をして すーと帰って行った

     「自分に」

ぽたぽたと 蛇口から落ちる涙は 止まらない

どんなに辛く 悲しいことがあっても

いつまでも くよくよしていてはだめ

思いきり 蛇口をひねって 一気に涙を 流してしまうの

さあ 新しいカップでコーヒーのみましょう

           そうですね、大泣きしたらすっきりします 藤井でした